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教育2 実践的職業教育と看護

昨年末から、大学の在り方についての討論が騒がしく行われていましたが、アカデミックなG型大学と職業教育中心のL型大学の分類表を見た時には、正直驚きました1)。

けれども、先日、文科省有識者会議(第12回)2)における、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について 審議のまとめ(案)を見て、驚いてばかりはいられない現実が迫ってきたように感じています。

グローバル競争の激化に伴い、職業に必要な知識や技術の高度化・複雑化は加速化し、さらに、少子高齢化と生産年齢人口の急減を背景に、長期雇用などを特徴とした日本型雇用システムが変容し、非正規雇用の労働者も増えてきました。上の案では、そうした社会状況や雇用状況のなかで、企業内教育の機会が減少したことを受けて、学校教育における職業教育の充実が必要となってきたというのです。

大学の現行制度のみによる社会的ニーズへの対応の限界を見据え、社会人の学び直しへの対応や地方創生への対応をも含め、質の高い職業人を育成するために、それに合う実践的教育を行う新たな高等教育機関の制度設計についての議論が、近々中央教育審議会で始まるようです。

こうした実践教育中心の新機能を持つ高等教育機関では、教養教育においても、現大学のように哲学や古典等についての素養を養うのではなく、変化に対応できる、どのような職業人にも必要とされる知識や思考法等の知的な技法などが身につけられるような基盤を重視することを考えているようです。狭義のスキルを学ぶということでしょうか。哲学や古典を学ぶことは、変化の激しい現代を主体的に生きて行くすべを培うのに適応しないというのでしょうか。

看護教育は大学教育でも行われていますが、まだまだ高等専門学校による教育が多く、上述した職業教育の第一の対象となるかもしれません。

狭義の技術教育を超えた看護の専門教育を行うには、看護が学問にならなくてはならない、それには、広く深い教養と科学的知識を学ばなければならないと教えられ、その方向に自分を引き上げていかなければと信じてきたわたしにとっては青天の霹靂といっても言いすぎではありません。

病を持つ人々へのケアは、人間の根源的な営みです。こうした原則的な事実を論点に上げないままに、教育に大きな方向転換が生じるとしたら恐ろしいようでもあります。

 

参考:

1)

L型大学とG型大学、一流以外は職業訓練校に ── 日本の教育と産業構造の行方は? | THE PAGE(ザ・ページ)

2)実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について審議のまとめ(案)