看護教育5 からだとこころをつなげる人間理解

ここ2年ほど、言語中心の体験グループと身体中心の体験グループに参加する機会を持っていたのですが、同じ時期に体験するなかで、看護が常にからだを対象とするものであるにかかわらず、身体と言葉をつなげる科目がとっても少ないことに気がつきました。

入学後、看護の基礎を学ぶ科目の中に、バイタルサインを測定したり、ベッド上での清拭や身体の移動について、患者役と看護師役に分かれて実際に「やってみて」学ぶ科目はあるのですが、そこでは、いわゆる「手順」に沿って行うことが中心になっていて、学ぶプロセスで自分の動作が自分の思いや感情とどうつながっているかであるとか、身体を通して自分の思いや感情がどのように患者役の人に伝わっているか、あるいは伝えるかという内容は扱っていないといっていいほどです。

以前、マインドフルネスについて、このブログで書いたときにも、からだとこころのつながりの深さについて、我ながら改めて考えさせられたのですが。

看護教育のなかで、身体を通して、自分について、人間関係について学べるようにするにはどうしたらよいのか。今年は、8コマの講義時間をいただいたことをきっかけに、身体を通して、言語を通して、グループダイナミクスを学ぶ講義を組み立ててみました。私は精神看護学を担当する教員なのですが、基礎看護学の教員などに協力を得て行ってみました。はじめてのことで、まだ十分振り返ることができないままなのですが、身体を通したグループ体験理解のあとで、言語を中心としたグループ理解の体験を入れると、グループが「速くなっている」というような、身体言語的表現が出てきたりして、面白いなと思っています。

日頃から体験の非言語的な部分を感じてはいても、それを言葉に上げて意識していくことによって、看護のなかの身体を通した患者理解や援助を豊かにしていくのではないかと思い、関心を持っています。自分の行った講義をまとめたいと思いますし、そこから新たな発見ができたらいいなと考えています。