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精神障害者へのまなざし

昨日は、精神科、患者拘束1万人超す・・・10年間で2倍に というweb記事に頭を占拠されていました。即座に精神科病院の急性期化による閉鎖病棟の増加など、医療制度による影響が、ある意味色濃く反映されてきたのだろうかという考えがよぎりました。入院期間短縮と退院促進が病院の急性期化を作ってきた一因ですが、国内の多くの精神科病院は民間病院で、急性期病棟を開設し入院患者を確保しなければ経営が危ぶまれるという実情もあります。10年間で拘束や隔離が適用される自傷他害の恐れのある入院患者が2倍にも増加するというのは考えにくいように思います。

この記事では事実のみを短文で記載していたため、人によって受けとめ方は異なり、どのようにも読むことができると思いました。もしも、世の中に拘束しなければならない暴力的な患者が増えたというイメージの強化につながるなら、人間の恐怖に対する防衛がどのように表れるのか、恐ろしいことだと思います。また、医療従事者が不当に拘束していると読んだ場合、そうしたこともあるかもしれませんが、こうした事態と直面し解決しようと日々努力をしている精神科医療従事者への偏見につながるかもしれません。

翻って4月1日に障害者差別解消法が施行されました。これは、2006年に国連で採択、2008年に発効された「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」による法律です。この条約は障害者への差別禁止や障害者の尊厳と権利を保障することを義務付けた国際人権法に基ずく人権条約です。日本では、2007年に条約を批准後、2013年に障害者差別解消法が制定されようやく施行されました。内閣府から出ているちらしでは、「この法律は、障害のある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、共に生きる社会をつくることを目指しています」とうたっていますが、その根底にある人権の観点から、冒頭の患者拘束の実態を眺めると、現状では真逆の現実にあるのではないかと思い知らされます。

さて、人権に関連して、障害者への偏見がもっとも強いのは医療従事者だというのをしばしば耳にしますが、私の周りでも精神看護学や精神科看護にとっての最も大きな敵はすぐそばにいる他領域の教員たちだという意見をしばしば耳にします。新卒では精神科には就職しない方がいいと指導するという教員も意外に多いらしいです。しかし、精神科看護師は、一般病棟の看護師が習得していない患者理解や関わりの技術を持っています。まず初めに精神科に就職し新人として学ぶことは看護師としての成長を大きく促すでしょう。

患者拘束の増加の背景には、医療制度、人権意識など重く手の届かないように感じる問題が重なっていて非常に無力を感じます。障害者差別解消法がどのように効果を発揮するのか。

それでも、教育現場で精神看護学の位置づけと重要性について問いかけ、教育者自身の精神障害観や精神看護観に働きかけることは、私にでもできるかなと思います。