映画化が楽しみ

帚木蓬生氏「閉鎖病棟(仮)」が秋に映画化されることになったようです。「閉鎖病棟」は、第8回山本周五郎賞を受賞した書下ろし小説で、2000年に「いのちの海 closed ward」として一度映画化されたので、再映画化となります。

重い過去を背負いながら、精神科病棟で療養中の患者たちは、世間から隔たった病棟のなかでも寄り添い明るく暮らそうとしていますが、ある日、日常を一変させるような殺人事件が起こります。加害者は患者の一人である秀丸……。まっすぐな心で生きる患者の思いや生活がありありと描かれている小説です。

今回は主人公:秀丸笑福亭鶴瓶が演じるそうです。

https://www.cinemacafe.net/article/2019/02/04/60102.html

 

帚木氏は自ら精神科医として勤めながら患者の視点で描く小説家でもある方で、医療者として勉強になる作品が多く、学生にも課題図書の一冊に取り上げてきましたが、若い学生のなかには、精神科のイメージが暗くなったとネガティブなイメージを持った人がやや多かった覚えがあります。一人で読むには重かったのかもしれません。

閉鎖病棟」の発刊は1994年でもう25年前となり、時代も異なって来てはいますが、入院患者が圧倒的に多い日本の精神科医療や、それだけでなく閉塞感が強まりつつある、この頃の日々の生活に向けて訴えるものが大きい映画になるかなと楽しみです。