精神障害者の地域移行支援と基礎教育

10日ほど前に、日本精神保健看護学会のワークショップで、精神看護学教育について話し合う機会を持ちました。地域や臨床では精神障害者の地域移行支援について取り組まれていますが、まだまだ社会的入院患者が多いなか、基礎教育における、現状や将来に向けた取り組みも十分とは言えません。

看護師が地域で精神障害者を支援する場は、訪問看護や外来看護の場が主になりますが、実際にそうした場で基礎教育の時から実習させて頂く機会は少なく、病院実習が主流のためか、学生は患者のゴールを実感しにくく、患者の持てる力を低くみてしまうことも多いように感じています。一方、訪問看護の実習となると、お宅に訪問させて頂くために必要なコミュニケーション力などが不足しているため、実習指導者の負担が生じ訪問看護の利用者である地域で暮らす精神障害者にもご負担が出る場合もあるかもしれません。そのような実情があり、遅々として進まないのです。

話し合いでは、病院実習で病院という場に慣れたり、患者理解を進めるので精いっぱいではないかという学生のキャパシティを案じる意見がでました。しかし一方で、地域保健施設での実習を進めている実際の方法や、入院患者の退院時訪問への学生の同行を勧める案がでました。

参加者は定員いっぱいで関心の高さがうかがえました。当事者のご参加も頂きました。基礎教育は、今後、精神科看護に携わっていく学生を対象としているからこそ、繰り返し、地域移行支援と精神看護学実習の方向や実際について情報を共有したり話し合う必要性があると実感しました。