映画 三姉妹

場面は「いま」からはじまります。別れた夫の借金を返しながら花屋を営む長女、聖歌隊の指揮を務め家族も高級マンションに越したものの、夫の裏切りが発覚し苦悩する次女、食品卸業の夫とその連れ子と3人暮らし、劇作家としては大スランプ中で酒浸りの日々を送る三女、それぞれの重苦しい日々です。

ある時、年老いた父親の誕生日祝いのために久しぶりに故郷で集まることになり、それぞれが家族を連れて総出、父親とご馳走を取り囲むことになりました・・・。が、記念日は、過去のさまざまな痛みを思い出させ、集まったその場で振り返ることになり、長く封印されていたそれぞれの感情がぶちまけられてしまいます。

長女と長男は異母姉弟、この二人が父親から暴力を受ける幼少期の日々、見かねて通報を願うが叶わない次女、三女。過去の痛みが一挙に放出されたのです。

普段は普通のフリをして、外からは何も無いかのように見える人々と家族でしたが、記念日でそれぞれのストーリーが暴露され家族ストーリーに統合される場面は大きく苦しい痛みを伴っていました。それでも、最後の場面での三姉妹の清々しさを見て、人生物語の生成の苦しさと人生における家族の意味を考えさせられました。韓国の家父長制の恐怖と、そこで生きる女性たちの苦しみと力強さにも心が揺さぶられました。

韓国映画賞女優部門を席巻、日本では第16回大阪アジアン映画祭の特別注視部門に出品され絶賛された、ヒューマンストーリー映画でした。